第31回国際福祉機器展に行ってきました。この展示会は30年続いていますが、私が訪れたのは2回目。1回目は、去年のことで、会場の広さとブースの多さに圧倒され、未消化のまま時間切れになってしまいました。今年は、去年より出展する会社が15社増え、645社。やはり相当効率良く回らないと、1日では絶対回りきれません。
今回私が回ったのは、6つあるゾーンのうち、半分の3ゾーンでした。ベッド用品ゾーン、車いすなどの移動機器ゾーン、そして福祉車両ゾーンです。福祉車両以外は去年見たので、今回は、去年と何か変わった事があるのかを見たいと考えていました。でも、正直なところ、1年ではそう大きく変わらないだろうと、少々あなどっていました。ところがです、今年の印象は去年とは、全く違ったものでした。
まず、驚いたのは、車いすを利用されている来場者の割合が、去年より高いと感じた事です。会場のある駅に向かう電車の中から、すでに感じていましたが、会場には、車いすの方がたくさん訪れていました。来場者の大半は、福祉や医療関係に従事する人だと思いますが、それ以外の一般の方も多くいました。入場の際に、ジャンル分けされた色の着いた大きなシールを、服に貼らなければならいので、一目で何関係の人が区別できるのです。私のような「一般」参加の場合は、黄色いシールが渡されます。
もう一つ気が着いたことがあります。各ブースのイメージが変わった事です。去年より、デザインを重視して、見た者を惹き付けるようなブースが増えていました。それまでは、単に商品を陳列しているだけのように見えたものが、より商品を素敵に見えるように、工夫して配置するものが目に付きました。見ていてワクワクするような商品の見せ方は、ともすると、材質から冷たい感じに見え勝ちな、このジャンルにおいて、特に重要な事のように思うのです。
また、日本は福祉の後進国とまでは言いませんが、アメリカ・ドイツ・北欧などの福祉先進国からはまだまだ遠いようで、今回もそういった国からの出展が目を引きました。
【全体として】
今年も盛況の内に国際福祉機器展は開催されました。うす曇に小雨がぱらつく中、初日だけで4万人を越える来場者が会場を訪れました。午前10時前の開会式では、全国社会福祉協議会会長の長尾立子氏による開会宣言が行われ、海外コーディネーターのカーステンセン氏によるくす玉わりが行われました。10時になると同時にゲートが開かれ、多くの来場者はいっせいに会場へと入っていきました。全日程の来場者数は13万8千人と、昨年を上回る人々が訪れました。会場内では大小合わせて645社の企業が出展し、新しい商品等の展示およびデモンストレーションを行いました。出展社数も昨年の629社から645社へと増え、国際福祉機器展の盛り上がりを象徴しています。新規出店した企業では、新しい技術を応用した実用的な機器を展示し、昨年出展した企業も進化を伝えるために体験ブースを設けるなどして来場者の注目を集めていました。地味で小さいコーナーにこそ、発見あり。
新規出店した企業では、すばらしい機器を開発していました。
(株)ワールドワークでは、簡易着脱衣類の常識をボタン一つで変えました。一枚布をマジックテープで留める定番を、磁石式のボタンにしたのです。愛用していた洋服のボタンをGボタンに縫い代えるだけで、おしゃれを損なわずに簡易な着替えが出来るようにしたのです。
すばらしい企業を見落とさないコツとして、地味で小さいコーナーに注目してみることです。大企業と違う点は、ディスプレイ用の専用棚を準備していないこと、展示スペースが小さいこと、コンパニオンガールもいなければ、慣れた営業担当がいないことなどです。つまり地味で小さいコーナーにこそ、新規出店社や技術にお金をかけた企業を発見できるのです。体験ブースで、素晴らしさを実感。
また、進化したことが見た目だけではわからない機器のために、体験ブースを設置している企業もありました。ジーメンスの補聴器コーナーでは、その進化をヘッドホンで体感させてくれました。そこでは人の声だけを拡大して聞かせてくれる補聴器が開発されたことを知りました。雑音まで拾ってしまう補聴器は過去のものとなりました。これは体験ブースがなければ知らなかった事実です。
進化した機器を見落とさないコツとして、体験ブースに注目してみることです。ソフトウェアの進化は商品を見ただけではわかりません。一見したところ昨年と同じだと思っても、実は進化している。立ち止まって体験してみると、技術が日進月歩であることを教えてくれるのです。